ゴー宣DOJO

BLOGブログ
ゴー宣ジャーナリスト
2024.2.4 10:00ゴー宣道場

インフルエンザワクチン「有効性がある」とする研究の検証

ゴー宣ジャーナリスト日曜増刊、
今回は医者・研究者、ukiさんの登場です!

ukiさん前回はコチラ
「ネイチャーやサイエンスに出ている論文の9割は嘘」の理由

 


 

皆さん、ご無沙汰しております。ukiです。
2回目の今回は予定変更して、本業に関係してて、調べるとやっぱりかと思ったことがあったので報告します。

インフルエンザクチンの話題です。

コロナワクチンで「こりゃ、この手の研究や医療者はだめだ、もしや。。」と思って、冬前に打つインフルエンザワクチンを私はこの2年打たなくなりました。まったく発症してませんが。

で、調べました。厚労省のサイト(*1)には以下のように書かれています。

“令和5年度インフルエンザQ&A (令和5年10月13日版)

Q21 ワクチンの効果、有効性について教えてください
・・・国内の研究によれば、65歳以上の高齢者福祉施設に入所している高齢者については34~55%の発病を阻止し、82%の死亡を阻止する効果があったとされています※1。“

この最後の「されています」。 出たw なに、逃げを打ってるんでしょうね。
まあ落ち着いて、その「効く証拠」とやらを見ていきます。

※1の文献は、複数の研究者によって、平成9―11年度(1997-1999年)に行われた『平成11年度 厚生労働科学研究費補助金 新興・再興感染症研究事業「インフルエンザワクチンの効果に関する研究(主任研究者:神谷齊(国立療養所三重病院))」』です(*2)。
この研究は、日本の製薬会社が出してるインフルエンザワクチンの添付文書(薬の説明書)にもよく引用されてる、まあ、バイブルなんでしょう。金科玉条にしてなきゃいいですけど。 

読んだ結論から言いますと、

有効性があるという結論を導いた論理は不完全です。

ネットから総括研究報告書が落とせるから、読めば誰にでも突っ込みが入れられます。
この報告書内で、データが割とそろっていて、ワクチンが有効だったと結論している福岡県の廣田らの1998-1999年の老人病院入院患者の研究を例として見てみます。

ポイントは以下です。 色付き数字は後から計算で使う数字です。
・ワクチン接種時点(1998年11月17日)で調査参加者計575人(接種248[主治医が接種を適当と判断した者]、非接種327)。接種群より非接種群に心臓、脳梗塞、がんを基礎疾患に持つ人が多い。
・接種後インフル流行前の1月2日までに死亡したのが23人(接種・非接種内訳の記載なし)。
・観察開始時(1月3日)の生存者中、65歳以上の531人(接種234、非接種297)を対象。
・発病調査はインフルエンザ流行が示唆された1999年1月3日―3月13日(1999年第1-10週)まで。発病の定義は、流行期間の発熱(インフルエンザの抗原検査とかじゃない。)
・観察期間中の死亡は40人で、発熱していれば発病に含めた(接種・非接種内訳の記載なし)。

結果:
・発熱38℃以上は接種が79/234(34%)、非接種が138/297(46%)。
39℃以上は接種が23/234(10%)、非接種が53/297(18%)。
  ⇒ 大体、10%(46-34、18-10)分ほど、接種群に発熱が少ない。
※有効率とは、例えば39℃以上の発熱を18%から10%に8%減らしたというその減少分の「割合」です。これが上の「34~55%の発病を阻止」につながる数です。

以上の内容に突っ込むと
・インフルエンザ以外も含めて、病気になりやすい人が発熱しているだけでは?
※非接種群は全体的に病気持ちの方々。打つ前から主治医が接種者をバイアスを持って選択している。非接種群は、観察期間中に発熱する病気になりやすい、死にやすい人が多いのは当然だと予想されますから、そのような因子をうまく除き、ワクチンの効果だけを取り出して議論するのは困難です。※これは分担研究の、例えば三重県のものでも同様です―『1998/1999シーズンの三重県における高齢者に対するインフルエンザワクチンの安全性と有効性』(*3)。

・接種後に病気になったり、死んだりしている人の内訳が分からないのに、本当の意味で役立ったかは判定できないのでは?
ワクチン接種者の死亡例が多かったらどうするんでしょうか?はっきりしません。
さらに、上の575-23-531=21ですから、残り21人はどこかで除外されています(接種・非接種内訳の記載なし)。65歳未満で除外?か明示されてない。これ、接種者の除外が多かったら有効性の評価に関わるのでは。。。仮に接種のほうにもう少し発症者が多かったら、ただでさえ接種者のほうが人数少ないんだから差がなくなってしまいます。

・「死亡者が減少した」ことを示す証拠は、総括報告書では検証が不可能でした。
死亡者減少効果を言いながら、最終年度なのに死亡者数の差を載せず、なぜ発病に含めたのか? 

以下、予想される反論に回答します。
・抗体価は上がっているじゃん
⇒ それ意味ないですから。コロナでさんざんわかったでしょ?
問題は、最終的に効くか、効かないかなの!!

・前年度までの研究では死亡率低下があるかもしれないだろ?
いいえ、上記のように最終年度の調べた解析の仕方すらそもそも怪しいし、その結論を疑ってみる必要があります。
最初の研究要旨で、再解析したということが書かれており、当初は死亡率低下を主張していたが、厚労省は古い研究(解析をやり直す前)を、そのままだーれも見直さないまま公式見解として載せてるのかも。

20年以上前のものですが、はっきりいって、
流れがコロナワクチン関連でさんざん見てきたの同じ。デジャブw
論理が完全じゃないところはスルーしつつ、うまく継ぎはぎして、有効性はあるという結論を急いだような、、。

なんでかなーw
十分な検証もせず、現状維持、権威追随が楽、そして”得”
そんなふうになってないですかね? 
そもそも、データの検証は本来、国民の仕事でしょうか、
厚労省のお役人さんや研究者の皆さん?

 

参考資料) すべてネットから見れます。
*1: 下からインフルエンザQ&A
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/infulenza/index.html

*2: 
https://mhlw-grants.niph.go.jp/project/3401

*3: 
https://www.hws-kyokai.or.jp/images/ronbun/all/200202-3.pdf

 

【ukiプロフィール】
40代の関西在住の内科医、研究者。公論サポーター関西支部所属。ゴー宣は受験時代からの読者。哲学・倫理(医療含む)と人間観察、人との会話、自然、美味しい日本の食を愛する。本当は口が悪い。道場設営では受付を主に担当(そこでは口は悪くないですw ご安心ください)。

 

 


 

 

【トッキーコメント】
この原稿は昨年末にいただいていたのですが、ちょうどその時に私が風邪ひいて寝込んでしまったりして見落としてしまい、掲載が遅れてしまいました。申し訳ありません。

で、その時の風邪ですが、実際はコロナだったかインフルだったかもわからないのですが、もう風邪ごときで医者なんか絶対にかかりたくないという意識が根付いていたので、ひたすら家で葛根湯と龍角散ダイレクトとキレートレモン飲んで寝まくって、年末年始の旅行にも行って、カミさんにうつして治しました。
データはいくらでも嘘をつく、自分の身体は嘘をつかない、あまりにも単純な結論ですが、結局はこれしかないわけですね。

 

ゴー宣ジャーナリスト

次回の開催予定

第117回

第117回 令和6年 5/25 SAT
14:00~17:00

テーマ: ゴー宣DOJO in大阪「週刊文春を糾弾せよ!」

INFORMATIONお知らせ